放射線とは・・・
そもそも、「放射線」とは何なのでしょうか。
「放射線」とは、目に見えない光線のようなもので、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線や中性子線があります。放射線を出すものを「放射性物質」、放射線を出す能力のことを「放射能」といいます。例えば、電球で説明すると、電球から出る光が「放射線」、電球の光を出す能力を「放射能」、電球そのものが「放射性物質」にあたります。
放射性物質は、どのようなかたちをしているのでしょうか。
固体のものもあれば気体のもの、液体のものもあります。原子そのものに放射線を出す能力(放射能)があるので、例えば、固体の放射性物質を溶かして液体にしても、放射能は無くなりません。
身近にも放射線を出すものがあると聞きましたが、どのようなものがありますか。
放射性物質は自然界にもあります。例えば、ラドン、ラジウム、カリウム40などです。ラドン、ラジウムは温泉地等で耳にすることがあると思います。また、カリウム40は食物にも含まれており、飲食をすることで体内に取り込まれます。
また、人工的に作られた放射線もあります(人工放射線)。例えば、X線撮影やCTなどは人工放射線を利用した検査です。
放射線はどこから出てくるのでしょうか。
原子核(原子の中心)から出るものと、電子軌道から出るものがあります。アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線は原子核から出ます。X線は原子(電子の軌道)から出ます。 原子の構造
放射線に関する説明で、「ベクレル」や「シーベルト」という言葉が出てきますが、何ですか。
「ベクレル」は放射能、「シーベルト」は放射線の影響に関係する単位です。
ベクレル(Bq) : 放射能の強さを表す単位
1秒間に崩壊する原子核の数です。崩壊とは、不安定な原子核が放射線を放出して他の原子核に変わることを言います。壊変と言われることもあります。1秒間に1個の原子核が崩壊するとき1ベクレル(1ベクレル=1崩壊/秒)といいます。人体には自然に存在するカリウム40による放射能が、約4,000ベクレルあるといわれています。
※ ベクレルはフランスの科学者の名前に由来します。

シーベルト(Sv) : 放射線による人体への影響を表す単位
シーベルトを単位とするものに、「等価線量」と「実効線量」とがあります。
○等価線量
放射線が人体へ及ぼす影響は、放射線が人体に与えるエネルギー量だけでなく、放射線の種類(アルファ線、ベータ線等)の違いも考えなければなりません(人体へのエネルギーの与え方は、放射線の種類によって異なります)。
人体への影響の度合いは、人体へ与えられるエネルギー量(吸収線量と言います)に、放射線の種類の違いを考えた係数(放射線荷重係数:β、γ、X線は1、中性子線は5~20、α線は20)をかけて求めます。
等価線量=吸収線量×放射線荷重係数

○実効線量
放射線が人体へ及ぼす影響は、人体の組織や臓器の種類によって異なります。これを考えて算出する放射線量を実効線量といいます。放射線の被ばく管理に実効線量を用います。つまり、組織や臓器ごとに、(吸収線量×放射線荷重係数×組織荷重係数)を計算し、全身について合計した値が実効線量となります。
※ シーベルトはスウェーデンの科学者の名前に由来します。

ちなみに、人工放射線も自然放射線も同じシーベルト値であれば、人体に与える影響は同じです。
放射性物質の半減期とはどういうことですか。
「ベクレル」で説明したように、放射性物質は、放射線を出して減っていきます。当初あった放射能をもつ原子の数が、放射線を出して半分になるまでの時間が「半減期」です。放射性物質ごとに固有の半減期(1秒以下のものから数十億年まで)があります。例えば、半減期1時間の放射性物質は、10時間後には約1,000分の1に、24時間後には約1,600万分の1に減少します。
現在、公表されている「環境放射線監視テレメータシステム」の数値はゼロではありません。なぜでしょうか。
放射線は、大地(地面)や大気中の自然に存在する放射性物質からも出ているので、測定値はゼロにはなりません。また、その場所の地形や地質等によって値は異なります。
雨が降ると計測される放射線の量が増えると聞きましたが本当でしょうか?
雨が降ると、空気中にある放射性物質が雨と一緒に落ちてきて地面に溜まります。空気中にあったときよりも計測器に近づくことから、計測される放射線の量が多くなります。
逆に、降り積もった雪は、地面からの放射線をさえぎるため、計測される放射線の量が少なくなります。
普通に生活している場合、どのくらいの放射線を浴びているのでしょうか。
日本平均では、1年間で浴びる1人あたりの放射線は2.1ミリシーベルトです。以下のリンク先を参照してください。
・独立行政法人 放射線医学総合研究所 | 放射線被ばくの早見図 [PDFファイル / 1.57MB]
・全国の自然放射線 [画像ファイル / 72KB]
放射線を一度にたくさん浴びると体に良くないと聞きますが、どのくらいになると身体に影響があるのでしょうか?
原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)による広島、長崎の原爆被爆者調査などからは、100ミリシーベルト(mSv)を超えると、発ガンなど身体への影響が確認されると言われています。また、放射線業務従事者の被ばく線量の限度は、法律で年に50ミリシーベルト(mSv)までと規定されています。
「100ミリシーベルトを超えると影響が確認される」と言われているということですが、例えば50ミリシーベルトを4回浴びた場合はどうなるのでしょうか。
放射線の影響を受けた人体の組織や臓器は時間と共に回復しますので、同じ線量でも分けて浴びた方が影響は小さくなると考えられています。
放射能の単位 接頭語